出汁への思い |
お米の話に力を入れて書いてきましたが、
『髙野』は和食の料理屋ですから
出汁にも深い思いがあります。
出汁は和食の基本、お吸い物はお店の腕の見せ所。
ですので、今回は“出汁”についてのお話!
またもや少々長いですが、お付き合い下さい。
一般的に味が濃い、薄いと言う話がありますが
塩が強いのか、旨味が強いのかにより印象は変わります。
全ては塩分、旨味、甘みのバランス。
旨味がしっかり、きれいに出ている出汁には
塩分は少量で充分です。
節と昆布のバランスが良く、味わいが深いのにさらりと消える…
そんな出汁が理想であり、追い求める出汁の王道でしょう。
『髙野』の御吸い物は、初めは”ちょっとやさしめかなぁ…?”と
思われるかもしれません。
飲み進めていくうちに、薄紙を重ねてくように、出汁の味が舌で重なり
飲み終えたときに、しっかりと旨味を感じ、きれいな余韻と共に消える・・・
その様な味を感じて頂きたいと思っております。
蛇足ですが、“きれいな余韻と共に消える”…これはいいお酒の条件でもあるかと思い
『髙野』のワイン、日本酒も、そんなお酒を探し求めています。
“去り際のきれいな人”って粋ですよね! …そんなイメージです
出汁に使われるのが昆布と魚の節。
質のよい昆布は、ワインのように経年により雑味や、くせが減り、味わいが深まりますが、
数が少なく、いわゆるヴィンテージ物はなかなか高価。
羅臼、利尻、真昆布が一般的にお吸い物に使われているかと思います。
関西は昆布の味が強く、関東は節の味が強い傾向にあるようです。
その意味では、全く以って『髙野』の出汁は関西よりでしょう。
節の味が、がつんとくるのが、お好みの方には合わないかもしれません…(..)
でも、うちの出汁もくせになると思うので試していただきたいですが…
節は魚種の違いや、生産者の考え、魚の鮮度により味が変わります。
『髙野』では以前は本枯れ鰹節を使っていましたが、その味わいと香ばしさが
具材の個性に勝ってしまう場合がある事を感じ、現在は鮪節を使用しています。
鮪節は、主張は少ないですが、旨味十分!昆布だしの延長上にある魚の旨みがあり、
素材を引き立て、裏方に徹している。
主役ではないけれど、その人がいると舞台が締まる…スーパー助演俳優の様な存在です。

『髙野』の節は取引のある節屋さんのブレンダーさんが、
鮪の部位ごとの味を見極め、うちに合うような調合を
していただいています。
節や昆布だけでなく、米、魚、お肉もそうですが、
業者さんが苦労して集めて頂いたもの…
美味しくする努力を怠ってはいけない!と
戒めております。
“家庭で出汁の引くのは難しい”とよく聞きます。
ネットなどでも出汁の引き方は色々出ていますが
使う昆布や、節の質や味わいが様々なので、
違いは出来てしまいます。
例えば、基本的には、沸騰させてはいけないとありますが、
節に魚臭さがあれば、ある程度高温に持っていかないと
魚臭さはとれません。
毎日出汁を引くのは大変…という方は、昆布だしが、引くのに時間がかかるので、
時間がある時に、大きな鍋で昆布出汁だけ引き、冷凍保存をする事をお勧めします。
(昆布を1時間程度水につけて、その後、やや強火にし、
沸騰直前で、火を止め、昆布をとりだす)
使う時に鰹節の風味を加えればいいですし、
昆布出汁のままでもお鍋をする時にも重宝ですし、
即席めんを作る時にもいいのではないでしょうか?(^^)
味が深まりますよ
旨味は美味しさの素。
美味しい物を食べると幸せになりますよね!
∴旨味は幸せの素だと思っております
髙野
http://www.takano-gohan.com/